断熱性能の違いは等級だけでは決まらない

 こんにちは。

 Rarezaの野口です。

 暖かかった年末年始から、急に寒くなりました。

 最高気温が1桁になると、さすがに寒いですね。

 風が強いと更に体感温度は下がります。

 暖かく暮らしたいと考えたとき、断熱性能は大切です。

 建物の断熱性能の比較では、断熱等級が使われています。

 ですが、断熱等級だけで比較することはとても危険です。

 建物の性能には断熱性能以外に気密性能や換気性能など様々な要素が絡み合っています。

 平成15年に換気設備が義務化されましたが、以前から問題はあってと思いますが、多少の気密性能の高性能化がよりそれを後押ししていた可能性もあります。

 快適にしようとしたために、他の問題を引き起こすことも十分にあるので、気を付ける必要があります。

 では、大変だから快適にすることを諦めるのでしょうか?

 それをすると本末転倒です。

 快適に暮らす、命を守る、健康を守ることが家に求められることのはずであり、それをできる技術が世の中にあるのであれば、丁度いい性能というのは、快適に暮らせる性能となります。

 では、その快適に暮らせるの基準はどういうものでしょうか?

 いくつもあると思いますが、3つほど上げるとすると、

 1、家の中、全体の温度差がほぼないこと

 2、家の中、全体を23度50%以上に保つことができる性能があること

 3、空気がよどまないこと

 断熱性能をよくする場合は、等級だけで比較せず、その他の性能も併せて高めていくことを考えていきましょう。

・快適に暮らすための必要性能

 1.断熱性能が高いこと

 2.気密性能が高いこと

 3.換気性能やその他も考えられていること

1.断熱性能が高いこと

 断熱等級は1~7に分かれています

  等級7 HEAT20基準G3と概ね同等

  等級6 HEAT20基準G2と概ね同等

  等級5 ZEH水準の断熱基準と同等

  等級4 平成28年省エネ基準と同等←2025年4月義務化基準

  等級3 平成4年省エネ基準と同等

  等級2 昭和55年省エネ基準と同等

  等級1 昭和55年省エネ基準未満

 2025年4月からは等級4が義務化されますが、2030年には等級5に引き上げられることが予定されています。

 現状ですでに5年後には基準が引き上げられることがわかっているということは、少なくとも等級5の基準でつくられていないと、5年で型落ちになってしまうことを意味します。最低でも等級5、私としては等級6は持っていて欲しい性能であると考えています。

 ただし、断熱性能だけを等級5や等級6に上げるのはちょっと待ってください。

 断熱等級は机上の計算での数字です。

 断熱材の性能を最大限発揮するには、現場の施工はもちろんのこと、合わせて気密性能も必要になります。

2.気密性能が高いこと

 気密性能とは隙間のことです。

 断熱性能とは違い、机上の計算で表すことができないため敬遠されがちですが、最近はその重要性が少しずつ認知されてきました。

 家に隙間なんてないように感じるかもしれませんが、とても小さい隙間が集まって大きな隙間を形成しています。

 気密性能は”C値”で表され、数字が小さいほど隙間の少ない建物となります。

 気密性能にも努力目標があり、平成11年基準では「5.0」でした。

 しかし、現在ではこの基準もありません。

 ただ、5.0というのは性能が悪すぎてどうでもよい数字と言えます。

 気密性能を上げるのであれば、「0.36以下」であることが大切です。

3.換気性能やその他も考えられていること

 断熱性能、気密性能が整うと、換気性能やその他を整えることで、快適に暮らせる建物となります。

 なので、断熱性能と気密性能はベースの部分ですが、その他が整っていなければ、快適に暮らすことはできなくなります。

 快適に暮らすために性能について考えているので、断熱性能と気密性能だけで終わってしまっては本末転倒です。

 断熱性能や気密性能が高まったからこそ考えなければいけない間取りや暮らし方など、設計は様々な観点で考えていく必要があります。

 性能を上げるというのは、断熱性能だけでも気密性能だけでもその他の性能だけでもできません。

 結局は全ての総合力になるのです。

 そして、その総合力をしっかりと高いレベルで維持することが断熱性能が高く快適に暮らせるということにつながるのです。

 Rareza 野口

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